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血が濃くなることの影響 近親婚が禁止されている理由とは

血が濃くなるとどのような影響があるのでしょうか。流動性のない地域は必然的に濃くなっていくのでしょうか。

関連すると思われる事柄などもあわせてまとめてみました。

まずは簡単に遺伝の原理を知りましょう。

ホモ結合とヘテロ結合

同じ対立遺伝子を持つものをホモ接合体、違う対立遺伝子を持つものをヘテロ接合体という。

例えば、ヒトのABO式血液型では

  • AA、BBおよび OOの遺伝子型がホモ(同じ対立遺伝子)
  • AO、BOおよびABの遺伝子型がヘテロ(違う対立遺伝子

優性遺伝子と劣性遺伝子

ヘテロ接合体において一方の遺伝子のみが他方の遺伝子の発現を抑えて現れる。

このように発現する遺伝子を優性遺伝子といい、逆に発現しない遺伝子を劣性遺伝子という。ヘテロ接合体でどちらの遺伝子も発現することを共優性という。

ヒトのABO式血液型では

  • A遺伝子とB遺伝子がどちらもO遺伝子に対して優性 AO BO
  • A遺伝子とB遺伝子は互いに共優性 AB
  • O型の表現型は劣性ホモの個体 OO

近親婚が危険な訳

近親交配の特徴は、両親の血縁が近いため、その両者が共通の劣性ホモ遺伝子を持っている可能性が高くなることです。

近親交配そのものが危険なのではなく、その背後でホモになってはいけない生存に不利な劣勢遺伝子がホモになることが危険なのです。

生物での近親交配の特徴

◆障害をもたらしたり致死性のある遺伝子が顕在化しやすく、内臓疾患や骨格異常などの先天性異常が発生しやすくなる(近交退化)

◆個体群がある程度以上小さくなると、必然的に近親交配が起こりやすくなり、個体の生存、あるいは子孫を残すのに不利な遺伝子が顕在化する。そのためそれぞれの種には絶滅を回避し、自然状態で種を存続できる最低限の規模がある。

◆個体数が充分な自然状態では、一般に近親交配は起きにくい。それは多くの生物が近親交配を避けるメカニズムを持っているからである。

◆遺伝子の多様性の低下をもたらす原因となる。

◆一部のダニなど特殊な環境で生きる昆虫では、ほとんど近親交配のみで繁殖していることが知られている。この場合、(突然変異を考えなければ)全ての遺伝子のホモ化が行われ、致死性の形質を持つ遺伝子は淘汰されていると考えられる。

スペインのハプスブルク家

ハプスブルク家は血筋を維持するために、世代が下るごとに近親婚が増え、11の結婚のうち9組が「3親等以内の親族」との結婚だったといいます。

最後のスペイン国王であるカルロス二世の特徴
  • 複雑な病歴の大半は、下垂体ホルモン欠乏症と遠位尿細管性アシドーシスという2つの遺伝性疾患が同時に発症したと考えられる。
  • 先端巨大症(顎がせり出る等)のため、咀嚼に影響があり、常によだれをたらしていた
  • 知的障害があり、特に幼少期には衣服を身につけた動物のようであり、教育らしい教育をすることも困難であった。
  • 当時の文献には、話せるようになったのは4歳、歩けるようになったのは8歳になってからだったと記されている。
  • 晩年は立ち上がることも困難で、幻覚に悩まされ、ひんぱんにけいれんを起こしていたという。
  • 性的に不能であり、これがハプスブルク家の断絶を招いた。
  • スペイン・ハプスブルク一族内の乳幼児死亡率が、当時の戸籍から導かれる国内村落の平均よりも明らかに高かったという事実がある。
  • カルロス二世のホモ結合率は約25%程度だとも言われている。

下垂体ホルモン欠乏症や、血液を酸性側にするアシドーシス、先端巨大症という症状を見ると、生存に不利なホモ結合によってホルモン分泌に異変が起きていることがわかります。

ゾロアスター教

ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』のウィーデーウ・ダート(除魔の書)などでは、自分の親・子・兄弟姉妹と交わる近親婚を「フヴァエトヴァダタ」と呼び、最大の善徳と説いた。

ゾロアスター教の影響下にあった古代ペルシャでは、王族、僧侶、平民など階級の区別なく親子・兄弟姉妹間の近親婚が行われていた。

哲学者のニーチェは「賢い僧侶は近親相姦からしか産まれない」というペルシアの信仰について言及している。

指比

近親交配は、子の指比の2D:4D比を低下させることが判明している

2D:4D比が低い(人差し指より薬指が長くなる)ほど出生前アンドロゲン曝露量が高い

近親交配の比率は宗教・文化・地理に依存するため、このことは2D:4D比の地理的・民族的差異の一端を説明しうる。

青い皮膚のファゲイト一族

アメリカ東部のアパラチア山脈周辺は、近年に至るまで地理的・文化的に隔絶され、開拓時代から独自の生活様式や信仰が維持されてきた地域。

そこには“青い皮膚の一族”として知られるファゲイト一族が代々暮らしてきた。

研究の結果、一族には欠陥遺伝子が代々受け継がれていたことが判明。

欠陥遺伝子は「メトヘモグロビン血症」を引き起こし、血液が通常よりも暗いことが影響し、皮膚が青く変色していたという。

アシュケナジム系ユダヤ人

ゲノム解析によると、現代のアシュケナジム系ユダヤ人集団が、いまから25~32世代前の約600~800年前にボトルネック」(集団内個体数の激減)を経験していたことを特定した。

祖先となった創始者集団の個体数は250~420人にまで減少したという。

ボトルネックによって集団の数が減ると、低頻度かつ劣性の遺伝子変異が増幅される。

現在では、アシュケナジム系ユダヤ人の女性が妊娠すると、テイ=サックス病、カナヴァン病、ゴーシェ病、ファンコーニ貧血、嚢胞性線維症など、36種類の劣性遺伝疾患のスクリーニングを受ける(テイ=サックス病とゴーシェ病の罹患率は、一般的ヨーロッパ人の約100倍に達するとされる)。

また、癌抑制遺伝子であるBRCA1とBRCA2の変異を有する頻度が高く、一般的な頻度が400人中1人なのに対し、40人中1人の割合で発生する。

BRCA1変異を伴う家族性乳癌家系では、若年性乳癌と両側性乳癌の頻度が高く卵巣癌の併発も多い。

これらの遺伝子変異は、アシュケナジム系ユダヤ人の乳癌の11%、また卵巣癌の40%を引き起こしている。

医薬品企業アストラゼネカ株式会社によると、日本人の卵巣がん全体のBRCA遺伝子変異の割合は14.7%(93例/BRCA1: 9.9%、 BRCA2: 4.7%)で、欧米保有率と同程度であることが確認されている。

サリナス村の12歳になると男性器が生える「ゲヴェドース」

ドミニカ共和国の南西に位置するサリナス村で生まれるこどもたちの一部は、男性器を持たずに生まれ、少女として育てられる。

だが彼らはやがて少年に変わってゆく、こうした子どもたちを「ゲヴェドース」(12歳になると男性器が生えるの意)と呼んでいる。

サリナス村の子どもの約50人に1人(約2%)という高確率で誕生することから、地域特有の遺伝的な原因であるとされている。

ゲヴェドースは「5a還元酵素」という酵素が足りずに起こる遺伝性の疾患を指している。

胎児期の初期にテストステロンというホルモンを、還元酵素の5αリダクテーゼ(5-AR)という物質がジヒドロテストステロンに変換し、このジヒドロテストステロンによって男性の特徴が作られるのだが、還元酵素の5αリダクテーゼ(5-AR)が不足しているためにジヒドロテストステロンが作られず、本来なら男の子であるにも関わらず性器が作られないまま誕生してしまうというのである。

しかし、思春期を迎え、それぞれの性別に急成長する時期に、やっと男性器が形成される。そのため「12年後のペニス」という現象が発生するというのだ。

男性となったその後もほんの僅かに成人男性と違いが出てくるそうだ。その特徴はゲヴェドースの多くが薄い体毛(特に頭部)睾丸が小さいというものなのである。

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