オキシトシン 距離感が人と違う生きづらさ 愛情ホルモンから見る自分の説明書4

女性なのに1人でいる方が気楽だったり、男性なのに女性の方が気が合ったり、周囲と興味がある事がまるで違っていたり、いつの間にか孤立していたり、人への警戒心が異様に高かったり、人との距離の違和感はオキシトシンが関わっているのかもしれません。

オキシトシン

ストレスを鎮める作用があるオキシトシンは、ギリシャ語で「迅速な出産」が語源です。

女性のみならず男性においても血中に同程度の濃度で存在します。分娩や射乳、性行動、射精、精子の輸送などに関与していることが報告されています。

オキシトシンエストロゲン(女性ホルモン)によって分泌が増加されます。温度が高くなると濃度が上昇する事がわかっています。

良好な対人関係が築かれている時、抱擁や愛撫、手を繋いだり、ペットを抱きしめる等といった行為で分泌され、攻撃欲や逃走本能、恐怖心不安感減少させます。

中枢神経で働く神経伝達物質でもあり、母子の絆や、信頼愛情といった感情、グループ認識などの社会的行動にも複雑に関わっています。別名、愛情ホルモンだとも言われています。

動物では、他の動物が持つ本来の正常な警戒心を一時的に緩め接近行動」を可能にすることで交配を促す働きがあると考えられている。

オキシトシンの作用

  • 子宮を収縮させて分娩を進行させる作用
  • 抗ストレス作用
  • 摂食抑制作用
  • 社会行動への関与

オキシトシンは、精神的な安らぎを与えると言われる神経伝達物質のセロトニン作動性ニューロンの働きを抑え、人と交わったりする社会的行動への不安を減少させます。

◆扁桃体に働きかけストレスを鎮める。

◆社交的になり人と関わりたいという好奇心が強まる。

◆包容力や協調性、養育者としての適性といった性質が強く現れる。

◆愛情や信頼感を形成する。

◆人を信じやすくなる。

◆学習意欲や記憶力の向上

◆前頭前皮質が育つ様に働きかける。

◆心臓の機能を上げる。

◆感染症予防につながる。

◆アルコール依存に関わる神経系に関与している。お酒に強い方が依存しやすい。

◆腎臓に関与して利尿を生じる。一般的に女性の方が頻尿が多く見られる。

◆骨形成に関与しており、骨粗鬆症を改善すること骨格筋の再生能力低下を回復することが分かっている。

◆腸炎を抑制したり、甘味感受性を修飾する。

オキシトシンのダークサイド

・絆を断ち切ろうとしたり、共同体を壊そうとしたり、組織内で異質なものと認識したものを攻撃する作用がある。

・戦争・いじめ・社会的弱者への攻撃、ヘイトスピーチ・クレーマーなどもオキシトシンの作用である。ある種の強い正義感なども見られ、共同体の絆を強めるものとして行動にうつされている。

・目立っている人、台頭する人を妬む感情を生み出す。シャーデンフロイデともいう。

・組織を維持するために、束縛したり、支配したり、コントロールしたくなる。逸脱を許せなくなったり、自由を許せなくなる。親子間、男女間、仕事間などで見られる。

女性ホルモンが多く分泌するほど、オキシトシン分泌も増加することが考えられます。

恋愛とオキシトシン

愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンは、恋愛に深く関わっています。

相手に好きになり、その好きな人の事を思うとドキドキします。これは、オキシトシンの分泌が急激に増え、心拍数が高まるからです。

心臓は、オキシトシンの影響を受けやすく、心臓からもオキシトシンを作り出す事がわかっています。

相手をもっと知りたい、関わりたいという思いが強くなります。相手に夢中になると、前頭前野の動きが鈍くなり本能が強くなるのです。

ドイツの研究によると、オキシトシンによって、ある女性とが作られた男性は、離れている時もその女性を想い、他の女性に魅力を感じにくくなるそうです。一夫一妻制には欠かせないホルモンです。夫婦である場合、出勤前などにハグをすることがオススメです。

オキシトシンと人との距離感

オキシトシン受容体を活性化する遺伝子配列を持っていれば「人といる事を好む・人と共感して人を信じやすい・アクティブで社交的」な傾向が生まれ、受容体の動きを悪くする遺伝子配列を持っていれば「孤独を好む・人に不安や不信を抱く・受け身で非社交的」な傾向が生まれやすくなります。

しかし、オキシトシンが少ない仲間でない者に対して、誰とでも仲良くできる傾向があります。

これらの遺伝子配列に幼少期の親子関係・養育環境が加わる事で、オキシトシン受容体の数と感受性(感度の良さ)が決められていきます。感受性がよければ活性化する配列でなくとも愛着障害・発達障害・心身症などを発症するリスクは低下すると考えられています。

この受容体の違いによって、他人と一緒にいる事で「喜び・楽しみ」を感じやすいのか、「緊張・不安」を感じやすいのかが分かれてくるのです。

世間で言われている愛着パターン【安定型・不安型・回避型】はオキシトシン分泌量・環境・感受性の相互作用で形成されます。また、一度形成されても親密度などの後天的要素や、加齢などでオキシトシン分泌量は変化するものと考えられます。

オキシトシンが自閉症の改善に作用

浜松医科大学の研究によって、自閉スペクトラム症の方の表情の特徴がオキシトシンの投与改善することが再現性をもって検証されました。さらにこの改善効果は時間と共に変化することが分かりました。 これによって、オキシトシンによる自閉スペクトラム症の治療が最適化され開発が進むことが期待されます。

自閉スペクトラム症の中核症状を数値化して客観的に評価できる方法を開発しました。これまでに山末教授らが実施した 2つの別個の医師主導臨床試験の際に、6週間毎日2回のオキシトシンまたはプラセボの経鼻剤を反復投与した前後で、被験者が面接者と決まった対人的なやりとりを行う様子を撮影した動画から、表情の定量解析を行いました。

自閉スペクトラム症の方の表情は、そうでない定型発達者と比較し、対人的なやりとりの際に中立表情が目立つ上に変化しにくく、笑顔も表れづらいという特徴が見出されていました。それに対してオキシトシンの投与を受けると、どちらの臨床試験でも、プラセボに比べて、この中立表情の変化のしにくさが緩和されました。さらに、このオキシトシンによる改善効果は、投与を繰返していくと時間と共に変化していました

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