自分のルーツを知りたくありませんか?くせ毛なのも、お酒が弱いのもDNAのせいなのです。ルーツを知ると、人の出身地を聞くのが楽しくなってしまうかも知れません。
縄文人と弥生人
現代日本人は、縄文人と弥生人の混血とされており14%〜20%ほどの縄文人の血が入っていると推定されます。しかし、個人のルーツによってそのパーセンテージが変わってくると思われます。
縄文人系はハプログループD1a2系統、弥生人系はハプログループO系統です。
縄文人の特徴
- 背が低い(男性158cm 女性148cm位)
- 細身の体型
- 体重が軽い
- 細く長い手足
- 細く長い指
- 波状毛(くせ毛)
- 長頭(前後に長い)
- 幅が広く彫りが深い顔
- 眉は太く濃く直線
- 頬骨は小さい
- 二重で大きく丸い目
- 比較的大きい鼻
- 上下の歯がぶつかり合う噛み合わせ
- 耳たぶは分離型(福耳)
- 耳垢は湿っている
- 唇が厚い
- 髭や体毛が濃い
- 体臭がある
- お酒に強い
- 血液型 O型 B型
弥生人の特徴
- 背が高い(男性164 cm 女性150cm位)
- ずんぐりした体型
- 太くて短い手足
- 太くて短い指
- 直毛の髪
- 短頭(丸い)
- 面長でのっぺりした顔
- 眉は細く薄く半円
- 頬骨は大きい
- 厚い一重で小さく細い目
- 低くて狭い鼻
- 上の前歯が下の前歯に覆いかぶさる
- 耳たぶは密着型
- 耳垢は乾いている
- 薄い唇
- 髭や体毛は薄い
- 体臭はない
- お酒に弱い
- 新生児に蒙古斑が見られる
- A型
Y染色体ハプログループから見るルーツ
Y染色体ハプログループとは、父系で遺伝する単一の一塩基多型変異を持つ共通祖先を持つような、よく似たタイプの集団のことです。
ハプログループD
日本列島・南西諸島やアンダマン諸島、チベット高原で高頻度で見られる系統。同じアジア人である、中国人や韓国人と違う遺伝子タイプです。
ハプログループD1a2
縄文人の古代DNA。Dグループのサブグレードの1つで、日本に高頻度で見られます。日本特有の遺伝子タイプで世界でも珍しい古代血統なのです。
D2系統には、特徴的な変異「YAP」と呼ばれる挿入部分(300塩基)を持ち、これはD,E系統のみに含まれ他には存在しないのだそうです。E系統を持つのはイスラエル、ユダヤの民。調査結果から、イスラエルの失われた12部族のうちのエフライムとマナセだけがYAPなどを持つD系統であるらしいです。
3万年ほど前に日本列島で誕生したと考えられ、現在の日本人の3割から4割がこのハプログループに属しています。
特に北海道、東北、東日本や沖縄に多く見られます。
- 北海道(アイヌ)87.5%
- 青森 38.8%
- 静岡 32.8%
- 徳島 25.7%
- 九州 26.4%
- 沖縄 55.6%
区分としては北方系の古モンゴロイド。
北海道(アイヌ)・・・アイノイド(アイヌ人)と一部ニヴフ(樺太北部などに住む少数民族)との混血が見られる。
日本本土人・・・アイノイドと北部モンゴロイド、中部モンゴロイド、南部モンゴロイドの混血である。(日本本土人は琉球人よりも新モンゴロイドとの混血の比率が高い)
沖縄(琉球人)・・・アイノイドと中部モンゴロイド、南部モンゴロイドとの混血である。
ハプログループO
東アジア及び東南アジアで最も一般的に見られる系統であり、西ユーラシア系のハプログループRと並び現代人類において最も帰属人口の多いY染色体です。
ハプログループO1b2
現在日本人の約3割を占めます。Oグループのサブグレードの1つ。日本人及び朝鮮民族に30%程度見られ、満州族では15%前後見られます。アイヌには見られないことから、弥生時代以降の水稲農耕民、弥生人の遺伝子です。
- 青森 30.8%
- 静岡 34.4%
- 徳島 30.0%
- 九州 32.1%
- 沖縄 22.2%
ハプログループO2
現在日本人の2割を占めます。Oグループのサブグレードの1つ。漢民族65.7%やビルマ系民族86.7%、朝鮮人50.9%に高頻度で見られます。
- 青森 15.4%
- 静岡 19.7%
- 徳島 21.4%
- 九州 24.0%
- 沖縄 15.6%
O1b2とO2の区分は新モンゴロイド。シベリアという極寒な気候・環境に適応した結果として形成された人種であるという考えが有力です。
弥生時代での変化
縄文人と弥生人が出会ったとされる弥生時代は、弥生人のDNAが強く作用し著しい身長の伸びがみられます。しかし、また再び身長の低下がみられます。
環境や自然淘汰によるものでしょう(背の低い男性が好まれ、より多く子を作れたなど)
お酒の強さ
縄文人のお酒に強いという特徴ですが、縄文人のALDH2遺伝子は活性型であり、男性ホルモンも女性ホルモンも強く作用している黒人や白人と同じです。
ALDH2遺伝子とは、人の肝臓を中心にエタノールの代謝産物であるアセトアルデヒドを含む反応性アルデヒドの酸化及び、無毒化に重要な働きをしている酵素です。活性しているとお酒に強くなります。
遺伝子型 | 活性タイプ | アルコールの強さ | 備考 | 黒人 | 白人 | 日本人 |
NN型 | 活性型 | 強い | 依存症に注意 | 100% | 100% | 56% |
ND型 | NN型の1/16の活性・低活性 | ほどほど | 0% | 0% | 40% | |
DD型 | 非活性型 | 弱い | 飲めない | 0% | 0% | 4% |
「ちゃんと働く酵素の出現割合」というマップによると
- 80%以上 北海道 東北 南九州 沖縄
- 75%~80% 関東 四国 北九州
- 75%以下 北陸 中部 近畿 中国
お酒に強い地域が、縄文人の多い地方と重なることがわかります。
下図は東アジアの下戸遺伝子の分布図です
また、表を見ると日本人に低い活性のND型40%、全く飲めないDD型4%が見られます。東アジア全体で、お酒に弱い遺伝タイプの頻度が高い特徴があります。
弥生人の特徴で、お酒に弱いとありますが、弥生人に関する体質として下戸が存在します。お酒に弱いということは、アセトアルデヒドを分解しづらい人で、血中濃度が高い状態だと、血液に感染する原虫と呼ばれる寄生生物(マラリアや赤痢アメーバなど)が増殖できないことが分かっています。
つまりお酒の弱さは感染症予防にもつながっています。
DD型が飲酒やタバコの習慣がある場合は、悪性腫瘍のリスクが増加する傾向があリ、その他に、骨粗鬆症や、心血管疾患、神経疾患などとの関連も示唆されています。
考察
日本特有の世界的に珍しい古代DNAであるということは、狩猟本能が強く残っているということでしょう。
そこに弥生人のDNAが混ざり、日本人は独特の遺伝子変異を起こしているのかもしれません。
様々な少数派と縄文人のDNAは深く関連しているのではないでしょうか。
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