自己愛と毒親とスピリチュアルは関連が深いとされています。詳しく見ていきましょう。
自己愛(ナルシシズム)
病的な自己愛の人は、誇大的自己像を持っています。
自分は他人より優れていて重要な人物で特別扱いを受けるに値すると考えています。
自己中心的で、不誠実。非論理的な判断を下す傾向があり、人間関係を破壊し、周囲の人が苦しむ事があります。
自己愛 2つの類型
1,誇大型(関心型)
謙虚さや慎み深さを欠き、自慢したり支配欲が強く、他者への要求がましさや、高い攻撃性があります。
強力な劣等感、及び決して愛されないという感覚に対する防衛と考えられており、
また、脆い自尊心のため自己に向けられる批判を処理できず、自己正当化を試みるために他者を軽んじるとされています。
1. 他の人々の反応に気づかない
2. 傲慢で攻撃的
3. 自分に夢中である
4. 注目の的である必要がある
5. 「送話器」はあるが「受話器」がない
6. 見かけ上は、他の人々によって傷つけられたと感じることに鈍感である
2,過敏型
日本人に多いタイプです。
否定的評価に過敏で承認欲求が強く、他者から特別な扱いを求めます。自己評価の低さ,抑うつ感,引きこもりといった形をとりやすいです。
「恥」の感情が強く、対人恐怖症の原因とも見られています。
1. 他の人々の反応に過敏である
2. 抑制的、内気、表に立とうとしない
3. 自分よりも他の人々に注意を向ける
4. 注目の的になることを避ける
5. 侮辱や批判の証拠がないかどうか他の人々に耳を傾ける
6. 容易に傷つけられたという感情をもつ。羞恥や屈辱を感じやすい
毒親と自己愛
「毒親」に関する多くの議論の共通点は母親の「自己愛」問題であり、子育てという親子の相互作用において、子どもを愛でる「対象愛」よりも「自己愛」に偏重し、自分の必要や情緒的ニーズを満たすことを常に優先する関与によって、子どもを傷つけていくと言われています。
スピリチュアルと自己愛
自己愛性の人はスピリチュアルな物事に対して非常に興味・関心を持ちます。
スピリチュアルに関する本やグッズを多く購入したり、スピリチュアルから発展してカルト教団の教祖、その熱心な信者、霊能力者等になる場合があります。
カルト教団の教祖以外にも、霊能力者、ヒーラー、占い師、セラピストとして「スピリチュアル的な物を見る事が出来る」と自称し、多くの人に賞賛される為に活動する人も自己愛性人格障害である場合が多いです。
また、熱心な信者になった場合は、自分が崇拝している人は素晴らしい存在だと思い込み、その人に付き従っている自分も素晴らしい存在であると思い込んでいます。
スピリチュアルとHSP(HSS)
HSPの人はスピリチュアルに物凄くハマりやすいです。言ってしまえばHSPの巣窟です。
自分の生きずらさを誰にも理解してもらえず、人生に疲れ切っている人が多いです。加えて強い劣等感や体調不良を抱えています。
スピリチュアル系のセミナーなどにいくと「自分のことを言っている、初めて自分を理解してもらえた」と感動する事が多いのです。
感覚や直感が強く作用していること、霊的体験をしやすいこと、哲学に興味を持ちやすい性質だからということも関係しています。
親近感を持ってしまうのでしょう。
スピリチュアルの効果
スピリチュアルは、常識を超えた解決方法が見つかるかもしれないとの期待感を抱かせてくれます。
①努力することなく、それまでの人生をガラッとリセットしてまったく違う本来の素晴らしい自分になれるという変身願望
②透視能力を備えた専門家の肯定的な言葉や静寂、香り等によってもたらされる深い安心感とリラックス、神秘体験
③超越的な非日常の中で遭遇する“特別な自分”や“特別な人生”が与えてくれる人生や自分の存在の意味づけ、優越感等
『スピリチュアル市場の研究』有元裕美子著では、
「スピリチュアルが消費者にもたらすのは、夢か依存心の助長。人間の存在の根幹にかかるスピリチュアリティ(霊性)を扱う同ビジネスは“はまり”やすく、個人にとっても社会全体にとっても、その強い訴求力で毒とも薬ともなりうる」と述べています。
現代が「いつまでも落ち込んでいられない」効率的に癒す時代である、という著者の指摘もあります。
占いや風水などのスピリチュアルは「のめり込みすぎない」ということがポイントでしょう。
自分の盲点や思い込みを見直す機会にもなりますし、背中を押してくれることもありますので、使い方によってはいい付き合いもできると思います。
しかし、曖昧な体の感覚や直感に任せるのではなく、悩みは普通の専門機関に相談に行かないと解決しないです。
意志力と継続力を持って、科学的な方法で物理的にアプローチするのが解決への近道だと思います。