貧困の悪循環 貧しさが3世代にわたって連鎖する原因とは

貧困の悪循環とは、経済学の用語で、一度入ってしまうと外部からの介入がない限り継続する貧困の要因・事象のことです。貧しい家庭は少なくとも3世代以上の貧困状態の罠に陥るというのです。その原因を探ってみましょう。

貧しさの連鎖の原因

貧困家庭は脱出の助けとなる知的・社会的・文化資本をもつ祖先がいなくなっているため、貧困から脱出するのに長い時間がかかるそうです。

つまり、世代間にわたる貧困の連鎖は、教育・コネクション・金融資本を持っていないために起こると言えます。その結果により、ハンディキャップが発生するため、貧困が更に貧困を引き起こすのです。これは貧しい人々は生涯に渡って貧しいままであろう、ということを意味しています。

言ってはいけない残酷すぎる真実という本では、こう指摘しています。

◆多くの最貧困層女子を取材した結果、そこには「精神障害」「発達障害」「知的障害」の3つの障害があった。

◆収入格差の対策として、税金を投入し高等教育を無償化したところで、教育に適性のない最貧困層の困窮は何一つ改善しないだろう。その代わり、知識社会に適応した高学歴層(教育関係者)の既得権がまた増えるだけだ。

改善の難しさがあるのかも知れませんが、個人の意見としては、教育の無償化は脱出するきっかけに、なり得ると思います。

そもそも教育・コネクション・金融資本が介入しないと抜け出せません。知識や人間関係が整う環境は必要です。その一方で、高学歴層の既得権が増えることもまた事実です。

税金を有効に活用するには、何が解決のために必要かを、介入側はしっかり訴えたり、される側はしっかり認識することが大切です。

貧困家庭の内情

下記は、彩の国子ども・若者支援ネットワーク代表理事が文部科学省でのヒアリングで述べた見解です。

「(高校)中退した子たちの調査をしていますと、子供のころからの本当に深刻な貧困がありました。その若者たちの貧困は親の代から続いて、不安定雇用や低賃金の貧困の連鎖からつくられたものでしたけれども、その中で幼児期からDVだとか、家庭崩壊、貧困に伴ってネグレクト虐待が相当数見えました。それから10代の妊娠も少なくはないと思います。」

DV、家庭崩壊、ネグレクト、虐待からの愛着障害も関連性が強いとみられます。

埼玉県が行う生活保護受給者の学習支援家庭訪問では、訪問先の約80%母子家庭で、不登校、知的障害との境い目にあるボーダーの子や発達障害の子もいるといいます。

また、父親がいる家庭においては、父の年齢別の子どもの貧困率はU字型になっており、20代前半と60代の父の家庭で高くなっている傾向があるそうです。

貧困と虐待

貧しい経済状況は虐待とも関連が深く、虐待のために児童養護施設に入所した100例を調査したうち、親の精神障害、ひとり親家庭、生活保護家庭が3割以上を占めており、無所得も2割あったそうです。

子ども虐待は脳の器質的機能的異常が生じるので,発達障害と言わざるを得ない臨床像を呈し、発達障害と子ども虐待とが複雑に絡み合っていると言います。

3県の児童相談所虐待分析では、(父親が虐待しているケースでも)母の学歴が半数以上中学校卒業でしかないことがわかり、一時保護まで必要な深刻ケースでは学歴の低さが特に目立つそうです。

犯罪・依存症

貧困層のアルコール、薬物、ギャンブルの依存問題は、いずれも一般人口の発生率と比較してきわめて高率であるそうです。

犯罪では、矯正統計年報2004年によると、全国の新収容者5248人の出身家庭の生活水準では、富裕層2.8%、普通層69.8%、貧困層27.4%となっており、 犯罪の度合いが重いほど貧困世帯出身が多くなっています。

また、同統計2011年度「新受刑者の罪名別 教育程度」によると、新受刑者で最も多かった学歴は「中卒」であり、4割以上を占めるそうです。一方、大学卒業者はわずか4.5%となっています。

貧困の子どもの世帯の経済状況を向上させることは、将来の犯罪の発生抑止につながる可能性があるとの見解があります。

リスク要因

10代の妊娠・出産経験、高校中退経験、ひとり親となることは、貧困リスクを増大させています。

「二世代生活保護母子世帯」の中には、「母子家庭であったほうがいろいろと便利」と母親に言われて未婚母子家庭になったという人物も存在するように、母親の影響が大きいといわれています。

貧困の連鎖を断ち切るために

貧困の連鎖は高卒未満という学歴や、10代の出産などという育成期に発生した事柄が相関しています。子どもの高校の進学意欲を高めること将来のために高校を中退しないよう各地で支援が行われ徐々に改善されているそうです。

高校中退を食い止めることで、未成年者の望まない妊娠を阻止できることが期待できます。この事業を通じて支援員への信頼感が、結果として大人への信頼回復ひいては、児童自身の自尊心の回復につながり、将来的に虐待防止へとつながると予想されています。

貧困下でも学力の高い子どもは、「問題解決能力」などの非認知能力が高く、基礎的信頼生活習慣などの非認知能力育成も重要と結論づけています。

基礎的信頼や生活習慣は、主な教育者である母親の影響が大きいとされていますが、それが叶わなかった時に、自分で改善していく能力を養うためにも、親と価値観の違う大人が関わることが大事だといわれています。

また、貧困状況の者の中には特性として学習が不得手な子どもも存在します。このような学習が苦手な子ども達も最終的に安定した就業へつなげていくためには、学習能力に重きを置く従来の教育ではなく、地域の産業と関連性の強い技能を重視した高校教育職業教育を重視した教育が望まれるそうです。

まとめ

育成期に行動のコントロールができなくなってしまうのは、思春期の性ホルモンの影響も関連性があると思います。

世代を超えた負の連鎖は、貧困だけではなく愛着形成でも続いていきます。

それらを断ち切るために、まず知識を得ることがとても大切です。

負の連鎖を断ち切りたい人は、一番重要な健全な愛着形成基礎的信頼生活習慣の改善)、問題解決能力を高める。教育・コネクション金融資本の獲得。を自分のできる範囲で意識していきましょう。必要に応じて適切な支援を受けましょう。

もし、全てが叶わなかったとしても、自分が得意なところだけでもプラスにして、次の世代へと繋げていきましょう。

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