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なぜ若白髪が生えてくるのか なぜ人種で肌の色・髪の色が違うのか メラニンから考えてみる②

前回の、「なぜ若白髪が生えてくるのか なぜ人種で肌の色・髪の色が違うのか メラニンから考えてみる」の続きです。

今回は、肌の色と髪の色が人種によってなぜ違うのか、探ってみたいと思います。

肌の色の仕組み

髪の色(体毛の色)と同じで、ユーメラニン(茶色から黒)とフェオメラニン(赤)の二つのメラニンが肌色を決定します。

肌のメラニンは太陽光などに含まれる紫外線を受け、日焼けにより沈着します。

濃い肌の色は紫外線を遮断します。それによって肌が炎症を起こしたり、皮膚癌になるのを防ぐのです。

日差しの強い赤道直下の人種の肌は先天的に黒く高緯度になるほど薄くなっていくと言われています。

肌色の違いの原因と考えられているものはビタミンDです。

ビタミンDは紫外線を浴びる事で体内で合成されます。

紫外線からの防御とビタミンD合成を両立するため、皮膚の細胞が日照量に応じて随時メラニン色素を合成し、肌の色を変化させています。

紫外線量の少ない地域に進出した人類の祖先が、ビタミンD欠乏症によって淘汰されたことが、肌の色の多様性の原因だと考えられています。

肌の違いの要因

もともと人類の皮膚色は濃かったのにもかかわらず(熱帯で産まれた人類は、毛皮のかわりに紫外線から身体を保護するためにメラニン色素を沈着した)、白人がなぜ薄い皮膚色をしているのかについては諸説あります。

分子人類学者の尾本恵一さんの説によると、コーカソイドの祖先集団は、約一万五千年前の氷河期にインドから北西へ向かったのですが、当時の気候は氷河の溶ける水分蒸発により、曇り空が多く、太陽光線は弱かったそうです。

そのため、過剰な紫外線から体を保護するメラニン色素の厚い層は不要になりました。

一方、紫外線を浴びることが少ないと、人類はビタミンDの不足に陥るため、紫外線の少ない環境下では、メラニン色素の産出にあずかる遺伝子の突然変異がおきました。

少ない日照時間で効率よく取り込めるようにメラニン色素を薄くさせ、進化したのです。

ヨーロッパの気候では、皮膚色が薄くなった個体・集団が有利となりました。

ヨーロッパにおける色素が薄い淡色頭髪の出現頻度が最も高い地域は、高緯度のスウェーデンやフィンランドなどの北欧地域でもあります。

オランダや北欧についての記事はこちら

遺伝的にメラニンが全く合成されない個体をアルビノといい、紫外線によって皮膚がんになりやすいそうです。

アルビノは遺伝情報の欠損により、チロシナーゼを生成できないか、あるいはチロシナーゼが不活性のため、メラニンを生成できません。メラニン生合成に支障をきたす以外の点は、アルビノでない人と同じだそうです。

メラノソームの数が人種によって異なることが分かっています。メラノソームは色素細胞(メラノサイト)の中で「黒色のユーメラニン」を作り出す働きをしています。

メラニン の主な役割は紫外線防御ですが、そのほかの機能としては,生体に有害な活性酸素 の吸収,金属や薬剤の取込みなどがあります。

ビタミンDの作用

◆血液中のカルシウムやリンの濃度を調整し、腸管では吸収を促進させ、カルシウムやリンを効率の良く骨に蓄積させます。

◆骨以外の作用では、細胞増殖、神経筋、免疫機能、炎症を変化させています。

ビタミンDの欠乏は、呼吸器感染症や呼吸器疾患、各種がん、痴ほう症、うつ病、冬季うつ病、1型糖尿病を含む、自己免疫疾患などの疾病、勃起不全、妊娠結果に関連する可能性があります。

また、ビタミンDの自然の恒常性よりも高い濃度、あるいは低い濃度は死亡率を増加させます。

ビタミンDの雑学

◆子宮内膜症や不妊症の原因となる病気を持つ人はビタミンD濃度が低い

◆運動パフォーマンスが低い人はビタミンD濃度が低い

◆ビタミンD濃度が低いとインフルエンザにかかりやすい。サプリを取るとリスクが低くなる可能性がある。摂取を始めると2か月くらいでビタミンD濃度はあがる。冬は太陽光の紫外線量も少なくなるため、冬だけビタミンDを摂るというのも1つの予防。

◆鹿児島は札幌の2倍の紫外線量。北に行くほどビタミンD不足に陥るリスクが高くなる。

◆ビタミンD濃度が低いと前立腺癌の発病リスクは高くなり、特に男性更年期前ではさらに高くなる

◆ビタミンD濃度が低いと、閉経後の乳がん発病リスクが高まる。

◆ビタミンD不足で、認知症になるリスクは2.3倍に、アルツハイマー病のリスクは2.5倍に、脳卒中のリスクは2.0倍に増加する。

◆高緯度に住む浅黒い肌の人は、冬季うつの発病のリスクが高くなる。

十分な量のビタミンDを日光浴で得るためには、10時から15時の間に、少なくとも週2回、5分から30分、顔、手足、背中への日光浴が必要です。もちろん日焼け止めクリームを使用しないことが前提です。

髪色の違いについて

肌の色と同様にユーメラニン(茶色から黒)とフェオメラニン(赤)の二つのメラニンが髪の色を決定します。

黒髪

黒髪はほとんどの民族で主に見られる髪の色で、あらゆる地域の民族で黒髪は発現する可能性があります。

黒髪には大量のユーメラニンが含まれていて、毛髪の太さや髪の量、遺伝的性質において栗毛とほぼ同様ですが、個人や民族に依存する髪質の違いがあり、完全な黒色か極めて濃い色をしています。

例えば、ほとんどの東アジアの人々は直毛の黒髪を持つ一方で、アフリカの人々は非常に縮れた曲毛の黒髪を持ちます。

栗毛

栗毛はあらゆる地域で見られ、ありふれた髪の色です。栗毛と金髪は共通の遺伝子に基づいています。栗毛は黒髪ほどには一般的ではありません。

栗毛はあらゆる種類の瞳や皮膚の色と、同時に現れる可能性があります。栗毛は金髪よりも多くのユーメラニンを含んでいますが、黒髪の遺伝子と違ってフェオメラニンも含んでいます。

栗毛の人々は中程度の太さの毛髪を持ち、平均して10万本の毛髪を持っています。

金髪

金髪(ブロンド)は人間には比較的に稀にしか見られない髪色で、全人口の内で1.7パーセントから2パーセントしか見られません。

基本的に、金髪は明るい瞳の色や、ピンクベースの、しばしばそばかすのある肌と関連しています(オーストラリアのアボリジニのような、浅黒い肌を持つ人にも現れることがあります)

金髪の種類はプラチナブロンドから、暗い色のダークブロンドにまで及びます。ストロベリーブロンドは金髪と赤毛の混じった珍しい髪の色です。

金髪は劣勢遺伝子で、金髪はユーメラニンよりもフェオメラニンを多く含んでいますが、赤毛ほど多くはありません。天然の金髪は最も細いですが、他の色の髪より毛数が比較的多く、金髪の人は平均して14万本の毛髪を持っています。

子供の頃は金髪ですが、年をとるに従って、色が濃くなり、成人する頃には茶や黒に変わる人が多いです。金髪の女性は子供を出産するたび、茶や黒へと変わって行きます。

赤毛

赤毛は全世界的に最も珍しい色の髪であり、スコットランドやアイルランドで比較的多く見られます。アメリカ合衆国では人口の2パーセントが赤毛です。赤毛の色は鮮やかなイチゴ色から、深い赤褐色やワイン色にまで及び、主に白人の間で見られます。

赤毛は遺伝子の突然変異によって引き起こされる劣勢遺伝子であると考えられています。

基本的に、赤毛は明るい目の色と、色白の肌と関連しています。赤毛は最も多量のフェオメラニンと、最も少量のユーメラニンを含んでいます。

天然の赤毛は最も太い毛髪と、最も少量の毛髪を持っており、その数は平均して9万本です。

赤毛の人は、昔から差別があり、癇癪もちが多いなどといわれていました。有名な物語の赤毛のアンは、そばかすが多く豊かな想像力を持ち、活発でとてもおしゃべりな女の子として描かれています。

銀髪・白髪

銀髪若しくは白髪は灰・白色の色素に起因するものではなく、色素とメラニンの欠落によって生じます。白髪は光の反射の具合によって出現し、銀髪は単に老化によっても生じます。10代など非常に若い頃に白髪・銀髪となる人も存在します。

アルビノの子供は生まれつき白髪・銀髪を持つこともあります。

また、甲状腺機能障害やワーデンブルグ症候群、ビタミンB12欠乏症によって銀髪となる場合もあります。

人生のある時点から毛根にある細胞は色素をつくることをやめ、髪が白くなり始めます。コーカソイドは30代半ば、モンゴロイドは30代後半、ネグロイドは40代後半から髪が白くなり始めます。

白髪については前回の記事で詳しく書いていますので、ぜひ見てみてください。

黒髪は多量のユーメラニン、赤毛は多量のフェオメラニンを持ちます。

また、金髪の女性が出産するごとにユーメラニンが増えていくということは、ホルモンバランスによってメラニン色素も変化していくのでしょうか。

視力と日光とメラニン

オーストラリア国立大学 イアン・モーガン教授の研究チームは「ドーパミン」という物質が眼球の、のびを抑える効果があることを突き止めました。近視は眼球を奥に伸ばします。つまり「ドーパミン」が近視の発症を抑えたと考えました。

メラニンを生成する、チロシンは甲状腺ホルモンのチロキシン、トリヨードチロニンやメラニン色素、生理活性なカテコールアミンであるドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの前駆体です。

メラニン活性が強い人は、ドーパミンも作用しやすく、近視になりにくい傾向があるという事でしょうか。また、ドーパミンは意欲に関わる神経伝達物質ですので活動的なのでしょう。

台湾の研究では、明るさ1000ルクス以上の光を週11時間以上浴びた子どもは、近視になりにくいことが分かりました。1000ルクスは、屋外でなければなかなか達成できません。一般的に屋内では300ルクス程度、窓際でも800ルクス程度です。一方、屋外では日陰でも数千ルクスに達します。

近視を予防したり、抑えるには野外で日光を浴びると良いそうです。同時にビタミンDも摂取できるのです。

メラニンの違いで、肌や髪の色に違いが出るだけではなく、健康にも深く関わっているとは驚きですね。皆さんも1日5分でも、日光を浴びることを意識してみてくださいね。

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