お酒を飲むと、楽しくなったり、陽気になったり、普段言えない事が簡単に言えるようになったり、感情が豊かになったり、怒りっぽくなったり・・どうして人が変わったようになるのでしょうか。その理由に迫ってみたいと思います。
お酒に酔うメカニズム
お酒を飲むとアルコールは胃で約20%、小腸で約80%吸収されて血液に溶け込み、門脈を通って肝臓に運ばれます。
肝臓ではアルコールの分解が始まりますが、すぐには分解できないため、大部分のアルコールは心臓に送られ、脳や全身にも運ばれることになります。アルコールが血液によって脳に到達すると脳を麻痺させ、酔った状態を作ります。これが「酔う」ということです。
アルコールが脳に到達するまでには、約30分から1時間ほどかかるといわれており、お酒を飲んでもすぐには酔いません。
酔いの進行と脳の状態
失われる順番
理性→運動機能→記憶→呼吸
1,爽快期・・・爽やかな気分になる、皮膚が赤くなる、陽気になる、判断力が少し鈍る
脳の状態 網様体が麻痺する、理性をつかさどる大脳新皮質の活動が低下し、抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になる。
2,ほろ酔い期・・・ほろ酔い気分になる、手の動きが活発になる、抑制がとれる(理性が失われる)、体温が上がる、脈が速くなる
脳の状態 爽快期より本能や感情が活発になる。
ーーーーーほろ酔い期で理性のブレーキ作用が失われてしまいます。ーーーーー
3,酩酊初期・・・気が大きくなる、大声でがなりたてる、怒りっぽくなる、立てばふらつく
脳の状態 ほろ酔い期より本能や感情が活発になる。
4,酩酊期・・・千鳥足になる、何度も同じことをしゃべる、呼吸が速くなる、吐き気・おう吐がおこる
脳の状態 小脳まで麻痺が広がり、運動失調(千鳥足)状態になる。
5,泥酔期・・・まともに立てない、意識がはっきりしない、言語がめちゃめちゃになる
脳の状態 海馬(記憶の中枢)が麻痺し、現状を記憶できない(ブラックアウト)状態になる
ーーーーーー泥酔以降は記憶もなくなり、呼吸もできなくなりますーーーーーーー
6,昏睡期・・ゆり動かしても起きない、大小便はたれ流し、呼吸はゆっくりと深い、死亡
脳の状態 麻痺が脳全体に広がると、呼吸中枢(延髄)も危ない状態となり、死にいたる。
急性アルコール中毒は、一気飲みなどで血中アルコール濃度が急上昇し、「ほろ酔い期」「酩酊期」も飛び越して、一気に「泥酔」「昏睡」の生死ラインまで進んでしまった状態です。
ビールが性ホルモンに影響を与える
ビール会社のキリンのサイト内に、未成年向けにこのような文章がありました。
人間の脳は思春期の間に大きく変わり、知性、理性、記憶力、想像力などの重要な能力が形成されていきます。この大切な時期にお酒を飲むことで、理性的な行動ができなくなり、学習意欲や集中力が極端に低下することが実証されています。
さらに、性ホルモンの量を減少させるため、性機能の発達に悪影響を及ぼします。
本人だけではなく、周囲の大人がお酒に近づけない、近づけない環境をつくることも重要です。
また、女性にむけてこのような文章がありました。
女性は男性よりもお酒に弱く、心身ともに影響を受けやすい体質です。
それは、男性よりもアルコールの分解スピードが遅く、血液中のアルコールが濃くなりやすい傾向があるからです。
このような理由により、濃度の高いアルコールが体内に留まりやすく、肝臓疾患やアルコール依存症にかかりやすくなります。さらに、女性が多量に飲酒すると、乳がんや骨粗しょう症のリスクが高くなると言われています。また、女性のライフステージはいろいろな変化をします。
特に、妊娠中の飲酒は禁物です。妊娠中に摂取したアルコールは、胎盤を通って直接胎児に運ばれるからです。妊娠中の飲酒により、FAS(Fetal Alcohol Syndrome 胎児性アルコール症候群)を引き起こす可能性もあるため、絶対にやめましょう。
妊娠中だけでなく、授乳中は母乳を通じて赤ちゃんに悪影響が及ぶため、赤ちゃんの健康のためにもお酒はおやすみしましょう。
つまりアルコールは、性ホルモンを減少させ、女性は、骨粗しょう症と乳がんのリスクが上がるという事です。
その理由はいったいどうしてなのでしょうか。
漢方で有名なクラシエのサイトこんな興味深い記事がありました。
ホルモンバランスの乱れを引き起こすとされるストレスに着目し、ストレスとニキビとの関係について研究を行いました
そこで、皮膚が外界からストレスを受けたのと同様の状況を作り出し、細胞レベルで調べたところ、男性ホルモンを女性ホルモンに変換する酵素である「アロマターゼ」が表皮細胞内で低下していることを発見しました。そして、「アロマターゼ」低下によって皮脂の分泌が活発になり、ニキビの出来る原因の1つになることを突き止めました。さらに、「アロマターゼ」を活性化させる成分を探索した結果、ビールの原料であるホップから抽出した「ホップエキス」に「アロマターゼ」活性化作用があることが分かりました。
つまり、ビールを飲むと男性ホルモンが女性ホルモンに変換する「アロマターゼ 」が活性化し、男性ホルモンが減少、女性ホルモンが多くなるという事です。乳がんは、エストロゲンの影響を受けて分裂・増殖します。
ビールの女性ホルモン作用で考えられるのは
◆オキシトシン分泌が多くなり、人への警戒心が薄くなり接近行動を可能にする
◆喜怒哀楽が出て感情が豊かになる
◆右左脳の連結がスムーズになりおしゃべりになる
◆本能・性欲が高くなる
日経goody 2016年の記事によりますと、毎晩ビールのロング缶3本以上飲むようなら影響を受ける可能性があり注意とのことでした。男性の場合は、ビールに限らず大量の飲酒は精子力を下げてしまう恐れがあるそうです。
また、アルコールには依存性もあるので気を付けなければいけません。
アルコールによる胎児への影響
妊娠中に摂取したアルコールは、胎盤を通って直接胎児に運ばれます。
日本産婦人科医会によりますと
妊娠中のアルコール被爆により、流産、死産、先天異常が生じる。アルコールが催奇形性を有することは明らかであり、先天異常としては以下の症状がある。
1. 子宮内胎児発育遅延ならびに成長障害
2. 精神遅滞や多動症などの中枢神経障害
3. 特異顔貌、小頭症など頭蓋顔面奇形
4. 心奇形、関節異常などの種々の奇形
これらの症状を有する典型的なものは「胎児性アルコール症候群」として知られている。また中枢神経障害が主体の不全型は「胎児性アルコール効果」と呼ばれている。欧米では精神遅滞の10-20%が胎児性アルコール症候群・効果によるものと推測されている。
アルコールは、ホルモンにも影響をおよぼすため、胎児への影響がとても大きいのでしょう。
適量なビールは健康に良い
適切な時に、適量なら、健康や体に酔いとも言われているビールです。
最後に良い面を紹介したいと思います。(栄養以外ほとんどエストロゲンの効用です)
- ホップ成分のエストロゲン様作用による更年期障害の改善作用
- 睡眠時間延長作用、鎮静作用
- II型糖尿病患者に対するインスリン感受性の改善作用
- 胃液の分泌増加
- 心筋梗塞や狭心症などの発病が減る
- 動脈硬化や心臓発作を予防してくれる
- ビールの利尿作用が結石を押し出してくれる
- 発がんプロセスの抑制作用(乳がん以外)
- 女性特有の悩み、肌荒れや冷え性を改善してくれる
- 便秘解消の効果
- ストレス解消や疲労回復や美容効果
気持ちよくお酒と付き合えるといいですね。