オランダといえば、風車小屋がありチューリップが咲いていて、世界一平均身長が高くて、幸福度も高くて、大麻に寛容な国といったイメージがあります。その大麻の依存率ですが、意外にとても低いのです。なぜか気になりませんか?オランダと日本を比較しながら見ていきましょう。
オランダ
東はドイツ、南はベルギーと国境を接し、北と西は北海に面しています。河川が多く、下流の低湿地帯に位置し、国土の1/4は海面下になります。最近では温暖化による海面上昇の影響を受けていると言います。
川の河口にあるロッテルダム港(ユーロポート)は欧州最大の港です。日本は鎖国時にオランダと欧州では唯一外交関係を持っていました。
オランダ人の気質
「デンマーク幸福研究所が教える幸せの定義」という本によると、
- デンマークの遺伝子に近ければ近いほど幸福度は高い。
- セロトニンの分泌に影響を及ぼし、生活満足度の低下に関係する遺伝子変異があり、デンマークとオランダはその遺伝子変異の確率が低い
このことから、オランダはセロトニントランスポーター遺伝子変異のSS型(不安傾向が高くなる)の発生率が低い事が考えられます。楽観的な人が多く、幸福度が高いという事でしょうか。
その本によると、デンマークは世界有数の福祉国家であり、生後6ヶ月から保育所に通う子供が多く、小学校から18歳まで無料で教育を受けられるそうです。
一方で高い離婚率、平均労働時間が34時間しかない、セックスに寛容すぎる、イベントでの乱痴気騒ぎ、デンマーク以外の国旗掲揚の禁止など、仲間意識の強さや、自由奔放さがみられるそうです。
ドーパミンやオキシトシンが強そうですね。
オランダ人のルーツ
原始ゲルマン人は、現在のデンマーク人、スウェーデン人、ノルウェー人、アイスランド人、アングロ・サクソン人、オランダ人、ドイツ人などの祖先となっているそうです。
現在のゲルマン系民族のY染色体ハプログループは、ハプログループl1、ハプログループR1a、ハプログループR1bに大別されています。
ハプログループR1bの分布は赤毛と相関しており、赤毛遺伝子を持っていると言われています。
ハプログループIはヨーロッパ先住系の狩猟採集民(クロマニョン人)ですが、後からハプログループG2aによってもたらされた農耕と巨石文明を受容したそうです。
ハプログループI(特にI1)は碧眼の分布と相関しており、金髪の分布とも相関しているそうです。
オランダ人は、金髪碧眼の人や、赤毛(オレンジ色)の人が多そうなイメージがありますね。
世界幸福度ランキング2019年度
- フィンランド
- デンマーク
- ノルウェー
- アイスランド
- オランダ
原始ゲルマン人というデンマークと共通な遺伝子を持っている国が、軒並みランクインしている事がわかります。原始ゲルマン人は楽観的になりやすいセロトニン遺伝子と相関があるのでしょう。
気になるのは、ゲルマン民族のドイツがベスト10に入っていないことです。
冬の日照時間の短さ(冬季うつ病が問題化)が影響しているのでしょうか。どちらかというとドイツは少し真面目なイメージですね。
オランダの平均身長
オランダの平均身長は、男性183.8cm 女性169.9cm。世界一の高身長の国です。オランダでは、身長が高い男性ほど子供を残しているという研究結果がありました。
The Guardianの記事に、人間や動物の行動体系や体格の進化について研究しているロンドン大学のGert Stulp博士による研究が掲載された。
全体で最も多くの子どもに恵まれていたのは、「平均身長より高い男性+平均的な身長の女性」の夫婦の組み合わせであった。
男性については、背が高いと第一子を持つ年齢が上がるにもかかわらず、最終的には多くの子どもに恵まれて大家族になる傾向が高かった。一方、女性は平均的な身長の女性が最も多くの子どもを授かったが、生存率に関しては、平均以上の身長の女性が産んだ子どもが最も高かったという。
具体的には身長160cmの人であれば子どもの数は平均2.15人で、身長185cmの男性であれば2.39人となり、この傾向は35年間にわたって続いている。
この記事で気になるポイント
◆最も多く子供を産んでいるのは「平均身長より高い男性+平均的な身長の女性」
・・・この特徴が男女ともに一番子供を多く産むと推測されます。
◆男性だと背が高いと第一子を持つ年齢が上がるが、最終的には多くの子供を持つ傾向
・・・背が高い男性は自立(成長)が遅く、歳を重ねても精力的な人が多いと推測されます。
◆女性は平均的な身長の女性が最も多くの子どもを授かった
・・・オランダで身長が平均くらいの女性は、慎重な気質ではなくどちらかというと楽観的で、オキシトシン分泌量も多い傾向にあると推測されます。
◆生存率に関しては、平均以上の身長の女性が産んだ子どもが最も高かった
・・・オランダでは背の高い女性の出産率は下がる傾向にあり、慎重な気質だと考えられます。慎重かつ、リスク回避思考のある女性の子育て環境や、生まれた子の気質が警戒心が高くなる傾向にあるのではないかと推測されます。
これは、母親から受け継ぐのは「大脳皮質」と呼ばれる“記憶・思考・音声・知覚”など認識能力を担う分野だという研究からの推測です。
身長の伸び率 オランダと日本を比較してみる
年齢 | オランダ | 日本 |
10歳 | 143.2 cm | 138.9 cm |
11歳 | 148.2 cm | 145.2 cm |
12歳 | 154.0 cm | 152.6 cm |
13歳 | 160.9 cm | 159.8 cm |
14歳 | 168.2 cm | 165.1 cm |
15歳 | 174.4 cm | 168.3 cm |
16歳 | 178.7 cm | 169.8 cm |
17歳 | 181.3 cm | 170.7 cm |
18歳 | 182.6 cm | 171.0 cm |
19歳 | 183.2 cm | 171.7 cm |
20歳 | 183.6 cm | |
21歳 | 184.0 cm |
成長期に入ると約+25cm±5伸びますので、それまでの伸び率から考えても成長期は、オランダ男子が12歳から13歳からあたりで、日本男子は10歳と11歳の間あたりだと考えられます。
日本の男子の成長期スタートと、約2年の差があると考えられます。
成長期が遅い方が、スタート時の身長が高く、最終身長が高くなる傾向があります
また、成長期に入る前の、年ごとの伸び率もオランダの方が若干高いと思われます。成長ホルモン量の違いでしょうか。
オランダ人の身長が高い理由
その1
脳が成熟すると、脳の視床下部が脳下垂体や生殖腺の発達を促すホルモンを出し始めます。日本より、オランダの方が脳の成熟が遅いと思われます。
テストステロンは、左脳の成長を遅らせ右脳を成長させます。成長がゆっくりな分、脳の可塑性も長く作用し色々な物事を吸収し、成熟後に合理的思考を生み出します。
[48カ国の調査で左利きが多い国]
1位 オランダ 15.7%
2位 ニュージーランド 15.5%
3位 ノルウェー 15.0%
左利きが多いのは、右脳が活発である人が多いという事です。
左利きの人の脳では、右脳と左脳にある言語領域がよりスムーズに情報を伝達する傾向が見られたそうなので、原始ゲルマン人の国の人は右脳も左脳も活発な傾向にあるという事です。右脳左脳をスムーズにするのはエストロゲンの作用です。
もしかしたら、高いテストステロンがアロマターゼの作用でエストロゲンに生産されているのかも知れません。男性はテストステロンから、エストロゲンが作られます。
その2
日本栄養・食料学会誌によると、白人のインスリン分泌量は日本人より2倍ほど多いそうです。オランダ人は、女性ホルモン(インスリン作用)と男性ホルモンとの相互作用で骨格筋が発達したからだと考えられます。
逆に、日本人はインスリン分泌量が少なく、成長期が早いことから感覚器官や神経系統が発達して早熟になるのだと思われます。日本人で背の高い人は、インスリン分泌量とテストステロンがともに高いのかも知れません。
その3
テストステロンが多く作用している狩猟民のゲルマン人の遺伝子に、エストロゲンが多く作用している農耕民の遺伝子が混ざって高身長になり、楽観的な遺伝子が淘汰されにくい環境だった為に、早く大人になる必要がなく成長期が遅いのだと考えられます。
この図を見ますと、狩猟民族の縄文人に、農耕民の弥生人が混ざった弥生時代に身長の伸びがかなり顕著に見られます。しかし、日本では自然災害も多く神経系統など脳が早く成熟する人が好まれ、低身長な傾向に進化したのだと思われます。
その4
成長ホルモン量が多いことが考えられます。
成長ホルモンは、糖質コルチロイド(コルチゾール 等)によって抑制されるので、ストレスを感じにくいと抑制されにくいということです。
おまけ
思春期における身長の伸びはエストロゲンの分泌が促進されることで起こされていると同時に、エストロゲンは骨端線を閉鎖させる作用もあります。
その結果一般的に女性の場合、思春期における身長の伸びは男性より早いですが、骨端線の閉鎖も男性より早いため結果的に成人男性より平均身長が低くなります。一方男性で、エストロゲンが作用しない場合は高身長になりやすいです。
オランダの高身長の男性ほど、思春期におけるテストステロンが多く作用し、精力的なのではないでしょうか。
身長のまとめ
オランダ人は、成長期が遅く、白人の中でも高いテストステロン、エストロゲン作用があり、遺伝子的に楽観的でのびのびと育つ為、成長ホルモンが抑制されず身長が高くなる。
のではないかと考えられます。
なぜオランダ人は大麻に依存しないのか
オランダにおける大麻の使用比率は他の西欧諸国と比べて高いわけではありません。
若年男性のうち少なくとも月に一度は大麻を使用する者の割合は、オランダは9.7%であり、これはEU内で第7位に当たります。なお上位は以下のようになっています。キプロス(23.3%)、スペイン(16.4%)、イギリス(15.8%)、フランス(13.2%)、イタリア(10.9%)、ドイツ(9.9%)。
世界各国の依存有病率
日本 | 4.8% |
マカオ | 6.0% |
オーストラリア | 3.9% |
シンガポール | 3.8% |
アメリカ | 3.2% |
ロルウェー | 1.1% |
韓国 | 0.9% |
イギリス | 0.9% |
ドイツ | 0.7% |
オランダ | 0.5% |
出所:2012THE POPULATION PREVALENCE OF PROBLEM GAMBLING
これを見てもオランダは依存有病率が低い事がわかります。
環境面
オランダは世界有数の貿易港を持っており、麻薬が手に入りやすい環境でもあります。
依存性が低い大麻などを認めることによって、質の悪いものの流通を防ぎ、有害な依存性の高い麻薬が出回って、若者がハードドラッガーになる前に習慣性が低く、犯罪に繋がりにくい大麻に寛容になっているという点もあります。
さらにそのハードドラッグといった有害な麻薬を遠ざけることができ、マフィアなどの犯罪組織の資金源を断つことができるという点もあります。
なぜ依存しないのか まとめ
オランダは、手に入りやすい環境であるのに対し、依存有病率は少ないです。テストステロン量が多く、楽観的で精神も安定しやすく、合理的思考で、そして飽きやすい気質なのではないでしょうか。男の子によく見られがちな、禁止すると逆に使用したくなる性格傾向もあるのかも知れません。
日本人と少々気質が違うので、オランダや北欧の社会をモデルにするのは難しいかも知れませんね。