大丈夫、何とかなる。まいっか。と嫌な事をすぐにサラッと流せて、気持ちを切り返せるポジティブ思考はとても良い事のように思いますよね。実際に、ポジティブ思考の人はメンタルも安定していて、ストレスもあまり抱えずにいる印象です。しかし、偽りのポジティブ思考の場合はどうなのでしょうか。
偽りのポジティブ思考
偽りのポジティブ思考とは、無理やり楽観主義者になろうとする思考です。
不安に直面しないために、不安を封じ込める一つの方法です。これは、傷ついた子供が身につける対処パターンの1つで、それに気づかず大人になった人たちは、子供の頃の自己防衛手段の名残を一生持ち続けることになります。
本物のポジティブ思考とは・・・現実的に行動する楽観。あらゆる現実を認めめたうえで、明るい将来を思い描き、自分の行動次第でそれを実現できると考える手段です。この思考は問題解決にもつながります。
偽りのポジティブ思考で見られる、自己防衛手段は「解離」と呼ばれます。自分にとって都合の悪い記憶を切り離し、潜在意識という頭の奥にしまってしまうのです。
解離とは
「解離」とは、特定の心理や行動が、普段の意識から切り離されてしまう状態を言います。
大きなショックやストレスのかかることから精神を守るための、無意識的な防御機制と定義されています。この状態では、意識、記憶、思考、感情、知覚、行動、身体イメージなどが分断されて感じられます。
ポジティブ思考をひたすら褒めはやす人たちは、ネガティブ思考に対して、恐怖や嫌悪を抱きがちです。
「常にポジティブでなければならない」という強迫的思考に縛られているので、少しでもネガティブな思考が湧き上がると、まいっか。大丈夫。何とかなる。と、とっさに頭から振り払い、なかったことにしてしまいます。
怒り、悲しみ、辛い記憶。そうしたネガティブなことは意識的に考えないようにして、決して直視することなく、すぐさま目の前から取り除けてしまうのです。
偽りのポジティブ思考が作られる原因
解離は、愛着スタイルに伴う反応だと言われています。
愛着スタイルは、安定型・不安型・回避型・無秩序型(不安と回避の混合)があります。
回避型と無秩序型は、特に解離を起こしやすい性質です。
回避型愛着を示す人は、子どものころに経験した、辛いこと、嫌なことに対し、だれも守ってくれない、と感じました。そのため自分自身で問題を捌かなればなりませんが、どうしようもなく無力です。
その結果、辛いことを受け流し、忘れ、都合よく解釈することによって生き延びてきたのです。空想に没頭したりする場合もあります。
過去の辛いネガティブな記憶を、解離して切り離した結果、幸せな子供時代という偽りのポジティブ思考が生まれ、ストレスを報告せず、一見して順応性があるように見える人格が構成されるのです。
改善策1 2つのポジティブ思考と2つのネガティブ思考
■楽観主義の2つのタイプ
(1)方略的楽観主義…行動につながる楽観主義
(2)非現実的楽観主義…行動につながらない楽観主義
■悲観主義の2つのタイプ
(3)防衛的悲観主義…行動につながる悲観主義
(4)一般的悲観主義…行動につながらない悲観主義
もとの気質が楽観主義者でなければ、無理してポジティブになろうとすると逆にパフォーマンスが落ちると言います。
そういう方は、⑶の行動につながる悲観主義(ネガティブ思考)の方があっているのかもしれません。
⑶の防衛的悲観主義とは、暗い将来を思い描き、自分の努力次第でその結末を変えられるという一見ネガティブだが、それを回避する行動をとろうとする思考です。
防衛的悲観主義のネガティブ思考は、とくに不安を強く感じるような特定の場面でのみ顔を出します。それ以外の場面では、防衛的悲観主義者もあまり悩むことなく、日々を快適に過ごしています。
自分にとってどれだけ重要な出来事かという重要度によって、防衛的悲観主義を用いる場面を選択していると考えられます。
防衛的悲観主義の人たちは、ネガティブだとは到底みなせないほどの積極性を持ち合わせてもいます。
改善策2 解離からの回復
解離からの回復過程は2つあります。眠りの経路と目覚めの経路です。
眠りの経路とは、他者の保護によって包まれ、その中でまどろむことです。例えれば母親に包まれ、安心できる居場所を獲得することです。
これは、オキシトシン作用で他者と信頼や絆を作り、安心できる場所で安定した愛着スタイルをもう一度形成し直していくということです。
目覚めの経路とは、他者に対する依存を放棄し、自らの責任を自覚し、将来に向かって行動することです。
これは、合理的思考を身に付け、自立し行動していくということです。
自分の事を知って、自分にあった方法を選び、自分をより良い未来に導いて行くのは、あなた自身なのです。