感受性の強さは遺伝する事が多いです。タイプ別親子の気をつけるべき問題点を前回同様、精神科医やんばる先生の見解を参考に考察してきたいと思います。
親HSSと子HSP
HSPの子供はほとんどが母親に愛着を持ちます。
母親がHSSである場合、HSPの子供からの愛着は、HSSの母親から同じ程度のかけがえのなさで報いられる可能性はありません。
それほど、HSPの求めるものは大きいです。
この状況を母親自体が直感的に理解することも難しく、HSSの母親側からはHSPの子供がべったり甘えたり依存したりするようにしか見えず、逆に母親からHSS的に尊重し、あなたの思うとおりにしなさいと言うと、HSPの子供は見捨てられたように感じたりします。
合理的なHSSの母親の場合は、子供のHSPが合理的に考える習慣を身につけられることが多く、思春期以降の情緒が良い方向に行きやすいです。
親が自己愛HSSの場合は困難な事態となる事が多いです。
親HSPと子HSS
HSSの子供を育てるのはそれほど難しくありません。もともと情緒的に「自立」しており、情緒的な影響を受けにくいので、自己肯定感を低くさせなければいいのです。
「本人の話を聞き、言語的に否定しなければ良い」とも言えます。
しかしHSPの親は、子供に向き合ってはいるのですが支配的となる事が多くみられます。
子供が愛着・執着の対象であると、完全な支配を続けてしまうこともあります。
さらに愛着対象の子供を、兄弟姉妹間で差別するということが加わると、HSSは混乱してしまいます。
理不尽な支配はHSSの子供にはもっとも好ましくない環境です。
まずHSSには一番大事な「話を聞いてもらう」機会が少なく、また言語的に支配されることで自分に自由が無いと思い込みます。
こういったことから、自己肯定感が低くなりやすいです。
特に思春期に自己主張をはじめたHSSに対して、なおHSP親が理不尽な支配を続けようとすると、HSSは家出するか、非行に走るか、またうつ病や解離性同一性障害になる可能性が高いです。
親HSPと子HSP
HSPの親は、多くが子供に愛着を持ちますが、時に「妻だけに愛着を持ち、子供は無視」でああったり、子供にHSPとHSSの両方がいる場合などに愛着のある子供だけをかわいがるという差が見られる事があります。
HSPの子供も、愛着を持った親に服従し、ひどい仕打ちを受けてもその親からの愛着をひたすら求め続ける事があります。
思春期以降、自傷行為をするHSPに事情を聞くと「愛着を持った親の、愛着の対象にならなかった」というケースがみられます。
HSPで愛着の対象である親から無視され、しかもその親は自分以外に母親であったり兄弟に愛着を持つ状況を目の当たりにするという体験は、HSPの子供には辛すぎます。
つまりは、HSPの親子の場合は、「愛着のミスマッチ」ということが起こると非常に不幸な経過となります。
親自己愛HSSと子HSP・HSS
親が自己愛HSSの場合、事態は深刻です。自己愛HSSは価値観を押し付けるだけで、相手は見えていません。
例えば、HSP親は支配的になっていても子供をちゃんと人間として認知していますが、自己愛HSSはそれさえありません。「自分しか見えていない」のです。
その結果、子HSSの場合、子供の話を聞かない、不合理で理不尽な押し付けをずっと繰り返す、というHSSの子供に対して最悪の結果となり、子供はほぼ自己肯定感が低くなります。
思春期になって家出したり非行に走ったりして逃げ出せるケースは、まだ健康なほうだとも言えます。
子供がHSPの場合、親に対して愛着が無ければ家庭内暴力くらいの問題でとどまりますが、その母親に愛着を持った場合は、表面的で自分を見ていない親に服従し続けることとなり、思春期以降にうつ病などになるケースが多いです。
子供が受け身HSPの場合は、場の読めない親に合わせ続けるために絶えず周囲をうかがい続ける過剰同調性を身に着けざるを得ないでしょう。
母親がHSSで自己肯定感が低い場合
自己肯定感の低いHSS母は、基本的に自信がなく、また多数派に合わせるために(本人の感じ方としては)「こんなに自分は頑張っているのに」という追い詰められた状況に生きているため、結果として身近の人に支配的になることがあります。
子供が思春期に差し掛かると、親の不安定なところを見て、「親として頼りにすることができない」ということになることもあります。
自己肯定感が低いHSSは思い込みが激しく、時には非常に強迫的な教育ママになることもあります。(強迫的に完璧に家事をこなしたりすることも見られます)
自己愛かつ自己肯定感が低いHSSの場合は、夫や他の人を悪く言い続けて自分が被害者になっているように子供に言いつづけることがあり、子供が合理的でしっかりしている場合でも非言語的な操作によりコントロールされてしまうこともあります。
しかし、子供が思春期になると激しく母親に反抗したり、不登校などの問題行動をすることがあり、こういう現実に直面する事で、HSS母は低い自己肯定感から回復する(自律する)きっかけとなる事があります。
自分の自己肯定感の低さを理解し、アダルトチルドレン関係の本を読むなどで、急速に回復することがあり、その後は思春期の子供の良き相談相手となる事があります。