7つの習慣 後編
前半は自立のプロセスでしたが、後半は相互依存、つまり社会との調和のプロセスです。
自立の土台がないと困難が訪れた時、人間関係が崩れてしまいます。
相互依存は自立よりもはるかに成熟した概念です。自力で結果を出せ、内的に自分自身の価値を感じられ、自ら責任をもち行動し学べる人、つまり自立をしている人達は相乗効果において、他の人々と深く有意義な関係を築くことができます。
彼らの持つ巨大な能力や可能性といった資源を自由に活用できるようになります。
しかし、依存している人が相互依存に入ることはどうしても出来ません。なぜなら、それだけの人格と自制の力がないからです。
まずはじめに、相互依存において大事な事柄を1つ紹介してから習慣に入りましょう。
信頼残高と言う名の財産
信頼残高とは、その人に対する安心感。相手を理解する、礼儀正しい行動、親切、正直、誠実さを示す、約束を守るなどを通して蓄えができる。日頃から接している身近な関係こそ、継続的な信頼残高の預け入れが必要である。なぜなら引き出す回数もまた多いからである。引き出しをしてしまった時は誠意をもって謝らなければならない。
第4の習慣 Win-Winを考える
相互の利益を求める心と精神のことであり、お互いに満足できる合意や解決策を打ち出すことである。人生を競争ではなく協力する舞台と見るパラダイムである。相手の気持ちや信念を表現する勇気と、尊重する思いやりのバランスが必要である。
双方が満足しない、Win-Winを達成できない時はNo Dral 取引しない事が大切である。
win-winにおける5本柱
・人格 基礎となる自分の人格が充実している
・関係 お互いの関係が強く結ばれている
・合意 双方の合意がなされ、実行協定が成立している
・システム 関係を継続するしくみが円滑に機能している
・プロセス 結果に至るための望ましい過程をたどっている
人格こそが5つの柱の基礎である。以下、人格に必要不可欠な3つの要素。
誠実・廉潔・・・自立のプロセスを実行し、高める。自分の価値観を明確に打ち出し、それに基づいて日常的に計画実行していく。有意義な決意と約束をし、それを守ること。
成熟・・・勇気と思いやりのバランス。多くの人は、優しければ厳しくないというような二分法で考えがちだが、Win-winでは優しいと同時に厳しいものだ。思いやりと感受性を保つだけではなく、勇敢でなければならない。相手の立場や信念を考える思いやりと、自分の立場を主張し表現し具現化する勇気、双方が必要である。このバランスを保つこと。
豊かさマインド・・・全ての人を満足させることが可能である、というパラダイム。深い内的価値や安定、自尊心から生まれる。威信・名誉・利益・権限などを容易に人と分かち合うことが出来る。
反対は欠乏マインド。人生を1つのパイとみて、他の人が大きな一切れを取ると自分の取り分が減ると考える。他の人の成功を喜ぶことができず、それがまるで自分から何かが奪われてしまったような気になってしまう。欠乏マインドの人は他人との比較で自分をはかるため、嫉妬・支配欲に満ちており、イエスマンやご機嫌取り、自分より弱い者で自分の周りを固めようとする。そのため、チームで動くことは難しい、お互いの相違点や意見の違いを相手の反抗や反発と捉えてしまうからだ。
第5の習慣 理解してから理解される
理解していない反応(自叙伝的な聞き方)
評価する・・・賛成もしくは反対する
探る・・・自分の視点から質問する
助言する・・・自分の経験に基づき、助言やアドバイスを与える
解釈する・・・自分の動機や行動をもとに相手の動機や行動を捉え。解釈し、説明しようとする。
人はものの見方の違いに大きな違いがある。例えば、ビジュアル 直感的な右脳傾向の見方に対し、一方は体系立てた考えで分析的 論理的な左脳傾向の見方の場合。感情を中心で見ているのに対し、一方は経済やお金中心で見ている、などである。Win-winの関係であるには、まず相手の見方を理解しなければいけない。
【理解する順番】あなたの誠実さや能力に対して持つ信頼性→相手の気持ちに立った感情移入→理論展開
相手の見方や不安、関心事に対する正しい理解を踏まえて、自分の考えを明確に、具体的に、ビジュアルに相手に向かってプレゼンテーションすると、こちらの考えの信憑性は著しく高まる。
自分自身の立場や自叙伝に巻き込まれているわけでもなく、説教しているわけでもなく、本当に相手を理解しているということを相手に示すだけである。そのうえ、プレゼンテーションしていくうちに、自分の提案が、最初の考えと違ってくる事もある。理解する努力によって自分も学ぶからである。
全員の持っている知識や知覚を考慮に入れながら、当事者全員の利益になると信じている考えを、あなたが誠心誠意をもって提案しているということが相手に届くのだ。
第六の習慣 相乗効果を発揮する
相乗効果とは「全体の合計が各部分の和よりも大きくなること」
1+1を2よりも大きくする創造的な協力体制を目指す。しかし相乗効果的な人間関係を目指そうとしても、通常は防衛的な本能が働き、相乗効果を発揮できるのは稀である。相乗効果の鍵は相違点を尊ぶことである。
全ての当事者が“私的成功”を備え、勇敢にも第4~第5の習慣を実践し、不愉快さや不安に打ち勝って相手との相違点を尊ぶことができたとき、初めて相乗効果が発揮できる。
まずは、自分の中で相乗効果を発揮することが大事である。直感的 創造的 ビジュアル的な右脳と、分析的 論理的 言語的な左脳の双方を活用することによって脳の全体能力を発揮する事ができるようになる。自分の頭の中で精神的な相乗効果を生み出せる。それは日常生活に最も適合するやり方である。なぜなら、人生には論理的なものばかりでなく、感情的な側面も存在しているからである。
本当に効果的に人生を営む人というのは、自分のものの見方の限界を認め、他の人のパラダイムと考え方に接することによって得られる、豊かな資源を活用する謙虚さを持っている。自分の経験だけではデータ不足があり、他人との相違点が自分の知識と理解を増してくれると知っているからだ。
仏教では相乗効果を「中道」と呼ぶ。中道は妥協ではない。それは、三角形の頂点のように、より高い次元の選択を意味するのである。
第七の習慣 刃を研ぐ
人間のもつ4つの能力をバランスよく伸ばすこと、自分自身という大切な資源を維持すること。
肉体・・・食事 休養 運動。運動においては持久力 柔軟性 強さを鍛える。
精神・・・自分の核 中心 価値観に対してリーダーシップを発揮し決意すること。
知性・・・継続的に自分の思考能力を磨き、それを高める活動。
社会・情緒・・・これは相互依存に関わってくるものである。自分の価値観に忠実に生き、自尊心を高め情緒を安定させる。また、効果的に相互依存の関係性を送ることによって自身の立場を犠牲にすることなく人の考えを深く理解することができると分かれば、不安に感じる事もなくなる。有意義で人の役に立つ奉仕も、内的な安定性を与えてくれる。仕事もそれに当たる。人によく思ってもらうことが動機ではなく、他の人の生活に良い影響を与えることが意義と目的である。
これらの刃を研ぎ、さらに良心を育成することによって上向きに循環していく螺旋状の成長が望まれる。この螺旋状の成長を歩むには、常により高い次元において学び・決意・実行を繰り返ししていくことが要求される。
あなたの思いが相手を生かす
今までの人生を振り返って欲しい。自信をなくした時にも、あなたを信じてくれた人がいたはずだ。その人はあなたに良い脚本を与えてくれた。それがあなたの人生においてどれだけ大きな影響を与えただろうか。あなた自身が他の人に対しても、そうした脚本を与えられる人になれるとしたらどうだろうか。低迷の道に陥ろうとしている人を、あなたはその人の可能性を信じ、より高い道を示すことができる。その人の話に耳を傾けて感情移入をし、その人本来の責任を否定することなく、主体性を発揮するように勇気づけることができるのだ。
さて、ざっと7つの習慣を要約してみましたがいかがでしたか?
やはり気になる方は、本を購入していただくのがよろしいかと思います。何度読み返しても、その度に新たな発見が見つかるスルメ本だと思います。
自分の考え方と他人の考え方、2つの世界があることを知り、自分の当たり前と他人の当たり前をそれぞれ押し付けないのが大切なのですね。
普通はこうだよね?という会話は街に溢れています。その普通って人それぞれの主観なんですよね。少数派の方はその普通を押し付けられる事が多いのではないでしょうか。その防衛対策の為にも、この本は大いに参考になるかと思います。
他人の第6の習慣である相違点を尊ぶということ、これは、このサイトの主題ともいえるものです。一人一人の独自性を尊重できる社会になりますように・・・。
以下7つの習慣より引用
やがて息子の独自性が見え始めた。そして彼にはたくさんの可能性が秘められていることを発見した。私たちは心を落ち着かせ、彼の邪魔にならないようにし、彼が自分の独自性を表現できるようにした。
親としての極めて自然な役割は、息子を肯定し、愛し、尊び、彼の成長を楽しむことだと理解した。息子が「良い子」あるいは「できる子」であることに心の安定を求めることをやめて、自分たちの内的な安定性を育てるように努めた。
息子に対する見方を変えてみると、自分たちの中に新たな気持ちが芽生えてきた。息子を裁いたり、他の子供と比較したりせずに、彼との時間を楽しむことができるようになった。彼を世間並みの子供に育てようとしたり、社会から受け入れやすい形に無理やりはめ込もうとするのをやめた。そしてまた、彼に社会の持つ期待値を押し付けることもしなくなった。
月日が経つにつれて、息子は静かな自信に満ち始め、自分のペースで花を咲かせた。社会的な基準からしても、学校においても、友人の関係においても、そしてスポーツにおいても、目を見張るほどの成長を見せた。それは通常考えられる成長の速度をはるかに凌ぐ急ピッチなものであった。