HSPや、HSP/HSSとギフテッドとの特徴は似ていると言われています。まずはギフテッドの特徴から見ていきましょう。
ギフテッドとは
アメリカ教育省は「ギフテッドとは、同年代の子供と比較して、並外れた成果を出せるほど突出した才能を持つ子供である」と1993年に定義しています。ギフテッドは誕生時点から生涯にかけて高度な知的能力の傾向が見られます。
ギフテッドは自ら常に多様な「知的刺激」を切望して満たし、自分好みの学習方法で自分の興味ある分野を極めて深く掘り下げて探求する傾向にあります。そのため、ギフテッドは結果的に同年代より先のレベルに到達する事が多いのです。
恵まれた環境で英才教育を受け、努力で高学力を身につけた優等生との違いが見られます。ギフテッドは、遺伝により生まれ持った特質な資質と、環境との相互作用によるものだそうです。
ギフテッドの3つの基本要素
- 平均以上の能力
- 高い目的達成意識
- 高い創造性
ギフテッドの特徴
- 刺激への激しい反応や敏感さ(肉体や精神的に繊細で敏感)
- コミュニケーション能力に優れている(周りと合わないこともある、年上や大人と話すことを好む)
- 深く、早く理解し、短期間の復習で課題を習得でき、その内容を詳細に理解している
- 幅広い関心(興味のある事以外はやりたがらなかったりすることもある)
- 高い論証能力(幼少時から優れた論法や推論力を示す)
- 自己批判能力(完璧主義の傾向から)
- より高い人格へ成長する潜在能力
- 普通とは一風変わった振る舞い
- 創造性豊かで限りない知識欲
- 身体動作やリズム感に繊細
- 高い精神性や感情性
- 高い問題解決能力
- 異常なほどの熱情
- 並外れた集中力
- 優れた記憶力
- 共感的理解
- 豊富な語彙
- 想像力
- 独創性
- 好奇心
- 洞察力
- 芸術性
積極的な分離
積極的な分離とは、一般的な受け身の人生から離れるべく、対象から主体的に分離し、物理的あるいは精神的な距離を置くことで、より広い視野を俯瞰し、強い知覚に基づく深い理解を形成し、より高いレベルの認識を求め続けることです。
(受け身や破滅的に離れる否定的な分離は、主体性を喪失するため、精神病や自殺を引き起こす可能性があります)
ギフテッドは一般社会に対しても、積極的分離と再融合を繰り返します。
つまり、世間から自ら距離を置くのです。不登校や、友達や知り合いから離れるのも積極的分離かもしれません。社会から一歩距離をとり客観的に見つめ、その強い感受性により独自の深い理解を得て、それを探究し続けるのです。
自己や世界の概念が徐々に変化しながらも、少しずつ社会の矛盾を解きほぐし、最終的に独創的な生き方のビジョンを得て、その解決や克服、実現を目指します。
しかし、その分離過程では常に、緊張 不安 気分的うつ 恥 罪悪感といった精神的苦痛を味わいます。その自己の葛藤は、常に深い感情作用と連動しており、大きな出来事はもちろん日常の中でさえもが、理想と現実世界のギャップを思い知る強烈な機会になります。
否定感情も含めた、激しい感情こそが人生を変えるような劇的な体験をもたらし、積極的な分離を起こします。
この精神的苦痛は、個人が心理的により高いレベルへ成長していくために不可欠であり、その深い感情作用を最大にもたらすのは、OE(過度激動)なのです。
OE(過度激動)
◆精神運動性OE:落ち着きがなく頭の回転が早い印象を与える。
◆知覚性OE:光・音・匂い・触感など感覚器官に与えられた刺激に過剰に反応する。
◆創造性OE:詩的表現に優れる。注意力散漫、独創的な考えをする。
◆知性OE:知識とロジック。理論的な分析や真実の探究を愛する。
◆感情性OE:全ての感情が深い。愛着心、責任感、自省意識も非常に強い。
どの分野のOEが強いかは、個人差があります。創造性・知性・感情性に過剰に反応する人は、人生の苦楽を激しく感じる場合があります。
OEに起因して、ギフテッドは孤立をする事があります。周囲の子供たちと精神年齢や興味や話が合わない、気の合う友達が見つからない、他の子から疎外される、外部の刺激を嫌う傾向がある、人生を真摯に受け止めるあまり内向性を持ち、頻繁に内省するために、自ら一人を選ぶ人もいます。
一般社会において人は「普通」でなければならないという多大な心理的負担があります。ギフテッドは変わり者という烙印を押されたり、いじめの対象になったりして、自己肯定感が低くなる事があります。共通した能力や趣味のギフテッド同士の交流があれば、参加する時期が早いほど孤立を避ける事ができます。
ギフテッドの親の特徴で、興味深い記述を見つけました。
ギフテッドの子供にとって最適な育児・教育方法を暗中模索する親は、時にはギフテッド教育ではなく、通常クラスに入れたり、状況が許せば私立やホームスクーリングを選ぶこともある。
子供の才能を見逃さず最大限に伸ばす方法を考え、常に旺盛で衝動的な知的好奇心を満たす学習課題を与え、激しい感情の波のコントロールを教え、得意分野だけでなくバランス取れた教養を目指し、高慢にならず、被害妄想を膨らませず、社会で孤立しないよう育てようとする親もいる。親自身が孤立することもある。
つまり、ギフテッドの子供は
◆旺盛で衝動的な知的好奇心を持ち
◆激しい感情の波があり
◆得意分野だけに偏りがちで
◆高慢になりやすく
◆被害妄想を膨らませやすい
傾向があるということでしょう。とてもコントロールが難しそうです。
親がこのような育児の考え方をし、行動するということは、問題解決能力の高さがわかります。また、親自身も孤立する事があるとありますが、親も積極的な分離をしているのかもしれません。
HSPとの共通点
HSPの大きな特徴は4つあります。下に並べたギフテッドの特徴と似ているのがわかります。
1深く処理する
「一を聞いて十を知る」ちょっとした刺激や情報から、深く受け止めて物事を徹底的に処理し、理解していきます。
- 深く、早く理解し、短期間の復讐で課題を習得でき、その内容を詳細に理解している
- 精神運動性・知性OE
2過剰に刺激を受けやすい
強い明るさ、大きな音、手触り肌触り、匂い、暑さ寒さなどからも、普通以上のストレスを受けたり、疲れや痛みも通常より強く感じてしまう傾向があります。
- 刺激への激しい反応や敏感さ(肉体や精神的に繊細で敏感)
- 知覚性OE
3感情反応が強く、共感力が高い
強い感情移入を示します。他人への関心や共感性の強さがあります。
- コミュニケーション能力に優れている(周りと合わないこともある、年上や大人と話すことを好む)
- 共感的理解
- 感情性OE
・ささいな刺激を察知する
繊細で感受性が強いため、ちょっとした変化など、細かいことによく気がつきます。(差次感受性から)
- 洞察力
- 各種OE
HSPとギフテッドどちらも不安傾向がある事、積極性がある事も共通点としてあげられます。神経系統や感覚器官の過敏性や、VMAT2遺伝子や、セロトニン関係・ドーパミン関係の遺伝子変異が関連しているのでしょう。
ギフテッドの特徴である「異常なほどの熱情」や「想像力・好奇心」や「幅広い関心」などを考えると、よりドーパミンの繰り返し配列が多いと見られる、HSP/HSSの方が共通性が大きいのかもしれません。
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